Levels, 2011

 

「Levels, 2011」

 

僕たちは何かを見ていた。

まだ名前のない何かを。

 

空の向こうにあるのか、

自分の内側にあるのかも分からないまま、

ただその気配を追いかけていた。

 

空気はどこか甘く、

世界は秘密を隠しているようだった。

 

夜の向こうで

何かが始まろうとしていた。

 

誰も見たことのない景色が

近づいてくるようだった。

 

ある日、

カフェで流れた一曲に

僕は顔を上げた。

 

知らない扉が開く音がした。

 

やがて夜は光に満ちた。

 

見知らぬ誰かの隣で、

僕たちは同じ空を見上げていた。

 

何万もの手が空へ伸びる。

 

遠い約束に触れるように。

帰る場所を思い出そうとするように。

 

僕たちは信じていた。

まだ見ぬ何かを。

 

まだ見ぬ自分を。

 

そして

まだ見ぬ世界を。

 

今もときどき、

遠くからあの音が聞こえる。

 

失われた楽園のように。

もう帰れない夏のように。

 

切なくて、

美しいまま。

error: