2026年6月7日 by あめふみ こころのメモ 深海 それは波の姿をしていた。静かな日にも。光に満ちた日にも。理由もなく波を立て、去ったと思えばまた戻ってきた。見つかりそうになるたび深く潜っていった。 波を追ううち、深みにクジラがいた。大きな影は何も語らず先をゆく。深く。さらに深く。波の生まれる場所まで。 そこにあったのは、悲しみだった。祈りだった。痛みだった。 深く愛した証だった。 そしてそれは海の底でなお、光り続けていた。 クジラは旋回する。ひとつの祈りを囲むように。 海は静かになる。波は海の夢だったかのように。 私は水面へ浮かび上がる。知らない空が広がっている。 少し怖くて、少し美しい。 follow us Fb Tw Ln